エンタメ

ヱヴァンゲリヲン新劇場版の歴史を解説!シン・エヴァに向けて

エヴァがこの世に誕生したのは、1995年(平成7年)のこと。

1995年(平成7年)の10月4日からTV放送が始まった『新世紀エヴァンゲリオン』は1997年(平成9年)に完結。

まだスマホもSNSもない時代に、テレビ東京で夕方6時台に放送されたTVアニメながら、その話題は口コミ等で広まり、やがて社会現象を引き起こすまでとなる。

そんなエヴァが10年の時を経て、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ4部作として再始動。

かつては社会現象を引き起こしたエヴァでしたが、当時で既に10年前に完結した作品。

完結以降は新作が作られることもなく、2007年当時、人気アニメというよりは、「昔にあった有名アニメ」という存在になっていた。

そんなエヴァが再び受け入れられるのか、従来からのファンも、制作陣も半信半疑なところがあったのも事実…

この記事では、そのような背景から誕生した『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ4作目にあたる、『シン・ヱヴァンゲリヲン新劇場版』の2020年公開を前に、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版』の歴史についてまとめていきます。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版の歴史

新シリーズ第1弾・ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

西暦2007年9月1日に公開された、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ第1弾であった『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』は、ファンや制作陣の不安をよそに、興行収入20億円を記録。

  • パチンコ/パチスロが異例の大ヒット
  • 相乗効果でTVシリーズの人気が再燃
  • 次回予告に謎の新キャラが登場

いくつかの幸運と、本作がただの総集編ではないという噂が広まったことも、この作品のヒットを後押しした。

新しい作品が始まるその期待感と共に、エヴァが再起動した瞬間だった。

そして、第2作目『:破』の公開に向け、その人気はさらに加速することとなる。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

・オープニング興行収入 2.8億円
・最終興行収入 20億円
・2007年度興行収入ランキング 28位

新シリーズ第2弾・ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

そして、新劇場版始動の裏側で、もう一つの変化が起きる。

それは、製作体制の変化…

新世紀エヴァンゲリオンを作った庵野秀明監督は、古巣のGAINAXから独立をし、新会社・カラーを立ち上げる。

そして、カラーで1から『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの製作を始めたのである。

新劇場版では、複数の企業が製作費を出し作品をコントロールする、いわゆる「製作委員会」は廃止され、製作費の全額を自社で出資する、庵野秀明監督率いるカラーの「大規模な自主制作」という手法が取られたのである。

これにより庵野監督自らが原作権を持ち、「作品内容」「宣伝」「プローモーション」など、作品に関連する全てを自由にコントロールすることが可能になったのである。

そして、今までにない独自のプロモーション展開が『:破』に向けて次々と打ち出されていった。

1.コラボレーション

今では当たり前となったコンビニとアニメの大規模コラボであるが、その先駆けとなったのが、ローソン×エヴァのコラボレーション。

そして、コンビニ以外にも、ファストフードや音楽ショップ、携帯電話、アパレルブランドなど、当時としては異例でもあった様々な業態とのコラボを駆使し、街中にエヴァが広まっていったのである。

2.EVA-EXTRA

コラボで新たなファンの目にエヴァを届けるそのミッションと同時に、ネット時代の逆を行く、ゲリラ的プロモーションも行われていった。

  • 無料のエヴァ小冊子『EVA-EXTRA』の配布

スタジオ・カラーが自ら制作し配布を行った、最もライブでレアな情報満載のフリーペーパーが『EVA-EXTRA』

この『EVA-EXTRA』の中に、次回作『:破』に関わる未発表の最新情報や最新画像が載せられ、前売り券の発売などに合わせて配布されたのである。

ネットでは手に入らないレアアイテムが様々な場所に置かれることで、EXTRAを手に入れること自体が一つのイベントへと昇華していった。

3.地上波TV放送

そして、最大の転機となったのが、従来の放送局であったテレビ東京から日本テレビへの移籍である。

  • 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』TV版 2009年7月3日TV初放送

注目度の高い金曜ロードショーで初めてエヴァが放送。

そして、満を持して公開されたシリーズ第2弾『新劇場版ヱヴァンゲリヲン:破』が2009年6月27日に公開。

『:破』の興行収入は前作の2倍となる40億円に到達。

新たなファンを巻き込んだ第2のエヴァブームが始まったのである。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

・オープニング興行収入 5.1億円
・最終興行収入 40億円
・観客動員数 290万人超え
・2009年度興行収入ランキング 8位

『:破』の盛り上がりのまま、新たなエヴァグッズが続々と登場。

翌年にはBlu-ray・DVDが発売され、記録的な大ヒット。

EVANGELION:2.22

・Blu-ray初動売上 約35.7万枚(累計約46.5万枚)
・DVD初動売上 約28.3万枚

エヴァの舞台でもある「箱根」での大規模イベントもこの頃から始まった。

シンジたちが通う中学校を再現した場所での公式上映会や、箱根とエヴァの観光名所を記した「補完マップ」の配布。

ローソンをまるまる第3新東京市店としてオープンしたコラボ企画では、来店客が多すぎて急遽中止となるトラブルまで発生した。

毎日エヴァの話題が流れる、そんな状況が続いていった…

  • 富士急ハイランドEVANGELION WORLD
  • エヴァンゲリオン×JINS
  • EVANGELION×タワーレコード
  • エヴァンゲリオン・レーシング

そして暫くの沈黙の後、2011年の夏、金曜ロードショーで初めて『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』がTV放送されることとなる。

そして、この放送後に「何かが起こる」と予告されたこともあり、宣伝用の看板が出たり、映画館でのパブリックビューイングが実施されるなど、一つのイベントとして盛り上げられることとなった。

2011年8月26日『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』TV版が金曜ロードショーで放送、その放送後、次回作『:Q』の新予告と、公開時期が初めて発表された。

ここからの1年間、『:Q』に向けて、過去に例を見ないほどの特殊な時間が始まっていく。

新シリーズ第3弾・ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q

  • 作品内容に関わる公式情報を出さない

メディアによる情報発表はなくなり、公式サイトでの作品紹介もなく、映画の試写会も開かれない、誰もが『:Q』の内容を知らないまま、映画の公開日だけが近づいていった。

ファンの想いが募る中、エヴァ初となる公式常設店舗「EVANGELION STORE TOKYO-01」が原宿にオープン。

この場所から一つの方向性が見えて来ることとなる。

「EVANGELION STORE TOKYO-01」の開店日、その店舗の裏側に謎のシルエットが描かれているのが発見される。

このシルエットについて、店舗側からは何も言及されることはなかったが、明らかにエヴァキャラクターと分かるシルエットと見覚えのないシルエットが混同していることから、『:Q』のキャラクターではないかとの噂が広まった。

ただし、公式からは何の説明もないため、本当にこれが『:Q』の情報なのかどうか分からぬまま、ファンの考察だけが公開前から深まっていった。

つまり、公式の情報が出ない代わりに、非公式な形でヒントが出されたのである。

隠れた情報をファンが見つけ、SNSで拡散をする。

これが、まさに謎解きのような体験となっていった。

作品については秘密主義が貫かれる一方、『:破』のときから始まったコラボレーションはパワーアップ。

街中にエヴァが広まっていくことによって、より多くの人に認知される作品へと拡大をしていった。

  • ヱヴァンゲリヲン新劇場版:球
  • EVANGELION×ハローキティ
  • 日テレ汐留 綾波レイスライダー
  • LUMINE EST「ルミネルフ」
  • 秋葉原サンテFX「人類爽快化計画」
  • JRA日本中央競馬会×ヱヴァンゲリヲン
  • ANA×EVANGELION

そして、2012年夏、新宿バルト9のビル壁画で『EVA-EXTRA』の上映が決定。

エヴァの最新情報が書かれたフリーペーパー『EVA-EXTRA』がここにきて復活することと、ビルの壁面で「上映」されるという事実に驚きの声が上がった。

1年ぶりに『:Q』の情報が解禁される…

EXTRAを知るファンは、その期待を元に新宿へと足を運んだのだった。

上映当日、バルト9は大勢の人が見守る中、その瞬間を迎えた。

今まで意図的に伏せられていた、『:Q』の映像と共に、公開日が発表。

ファンの盛り上がりは最高潮に達したのであった。

そして2012年11月17日に『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』が公開。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q

・オープニング興行収入 11.3億円
・最終興行収入 52.6億円
・観客動員数 382万人超え
・2012年度興行収入ランキング 5位

その衝撃的な内容に、様々な意見が飛び交うこととなる。

原宿のエヴァストアの壁面に描かれていたシルエットは、『:Q』の公開後に実際のキャラクターに変更。

同時いこれまで2013年公開と書かれていた完結編、シン・エヴァンゲリオンの公式サイトから、「2013年」の文字が消滅。

延期理由も発表されることなく、次回作については完全なる沈黙状態…

状況が分からぬまま、時間だけが流れていった。

公式から発信されるのは、イベント情報やコラボ情報、そして新商品情報ばかり。

EVANGELION:3.33

・Blu-ray初動売上 約31万枚(累計約40.3万枚)
・DVD初動売上 約12万枚

次回作を望むファンは、『:Q』の時と同じように、どこかに謎が隠されていないか注視しながら、新たな情報を待ち続けた。

  • 最新作『:Q』までの原画を展示する「エヴァンゲリオン展」
  • 日本刀とのコラボ企画「ヱヴァンゲリヲンと日本刀展」


密にされていた『:Q』のビジュアルも解禁され、アスカやカオルなど『:Q』で活躍したキャラクター達が続々と商品化。

2014年には原宿のエヴァストア店舗が一時休店し、池袋PARKO内へと移転。

金曜ロードショーでは初の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』のTV放送が行われるが、次回作の予告は流されることなく、英題が[FINAL]から[3.0+1.0]に変更され、物議を醸すこととなった。

コンビニとのコラボはローソンからセブンイレブンに移り、カラーはエヴァ以外の取り組み、短編アニメ企画「日本アニメ(ーター)見本市」を始動させる。

このようにして、エヴァを取り巻く環境は徐々に変化をしていった。

そして、『:Q』から3年後、時に、西暦2015年。

『:Q』以降、エヴァの制作が止まっていた理由とカラーの置かれた状況、庵野秀明監督がフォジラの映画最新作『シン・ゴジラ』の制作に取り掛かっていたことなど、これまで明かされることのなかった、エヴァと庵野監督を取り巻く現状が明らかにされる。

 2012年12月。エヴァ:Qの公開後、僕は壊れました。所謂、鬱状態となりました。6年間、自分の魂を削って再びエヴァを作っていた事への、当然の報いでした。明けた2013年。その1年間は精神的な負の波が何度も揺れ戻してくる年でした。自分が代表を務め、自分が作品を背負っているスタジオにただの一度も近づく事が出来ませんでした。2014年初頭。ようやくスタジオに戻る事が出来ました。それから、1年以上かけた心のリハビリにより徐々にアニメの仕事に戻っています。

 そして、2015年。旧エヴァの放送から20年後の今、すでに2年以上もお待たせしている、シン・エヴァンゲリオン劇場版の完成への実現に向けた作業も、なんとか進められています。

 僕の周囲の方々、そしてアニメファンの皆様が、再び完結に向かうというモチベーションを支えてくれているからです。本当に感謝します。

 と、同時に今は、空想特撮映画を形にする作業も行っています。始まりは、2013年1月末でした。東宝の方から直接「ゴジラの新作映画の監督をお願いしたい」と、依頼を受けました。精神的にも不安定でしたし、「無理です。エヴァもあるし、出来ませんよ」と、その場は固辞しました。

 が、東宝の誠意と盟友樋口真嗣監督の熱意に心が動かされ、同年3月、監督を引き受ける事にしました。過去の継続等だけでなく空想科学映像再生の祈り、特撮博物館に込めた願い、思想を具現化してこそ先達の制作者や過去作品への恩返しであり、その意思と責任の完結である、という想いに至り、引き受ける事にしました。(庵野秀明)

『シン・ゴジラ』の制作には、エヴァの制作スタッフも参加。

エヴァとゴジラの大掛かりなコラボレーションも始動し、エヴァのファンも、まずは『シン・ゴジラ』の完成を待つこととなった。

そして、2016年の映画『シン・ゴジラ』公開後、徐々に『シン・エヴァ』が動き出していることが報告され始め、カラー10周年記念展では、新作のものと思われるイメージボードが出ていた。

2017年、公式サイトがシン・エヴァンゲリオン仕様へと変更され、「鋭意制作中」のビジュアルを公開。

そして翌年の2018年、ついにシン・エヴァンゲリオンが、2020年に公開になると正式に発表されたのである。

この時、前作『:Q』から既に6年が経過。

『:序』から『:破』が2年、『:破」から『:Q』が3年、『:Q』からシンが8年、新劇場版始動からなんと完結まで13年という長い時間を経た、4部作がとうとう完成する。

詳しくは、エヴァンゲリオン公式サイト